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珠玉の島酒を語る ~ 至宝の酒・泡盛 ぬみやびら かたやびら ~

お酒を愛する人泡盛

「ぬみやびら、かたやびら」はウチナーグチ(沖縄言葉)で、「飲みましょう、語りましょう」の意。泡盛を嗜む方々に、泡盛の魅力とおすすめの泡盛3選を語っていただくシリーズです。

<第4夜> 浦添智美(Satomi Urasoe)|『珠玉の泡盛』ライター、金融業勤務、泡盛マイスター、2018年「第9回全日本泡盛マイスター技能競技大会」内閣総理大臣賞受賞(全日本チャンピオン)

沖縄県うるま市生まれ。コロナ禍で味覚・嗅覚を確認する上でも(消毒も兼ねて)出来るだけ毎日少量の泡盛を口に含むようにしている。趣味は旅行やドライブ、泡盛の味見。

泡盛との出会い

銘柄は覚えていませんが、20代前半のときに結納で新郎一家を我が家へお招きする際に、お料理といっしょに泡盛を準備しました。そのときに購入したのが初めての泡盛でした。最近の結納はホテルや結婚式場でなさる方が多いと思うのですが、私たちは自宅でヒヌカン(※)の灰を分けて頂いたりと、沖縄の古式ゆかしい結納を交わしました。

出産の内祝いには、小さくて丸い子豚さんみたいな形の甕を用意しました。みなさんにお渡ししたのと同じ甕を “20年経ったら子どもの成人祝に開けて飲もう”と置物のように飾っていました。

その当時は泡盛のことをよく知らず、甕のそばを通るたびに、“何か匂いがするなぁ。何の匂いだろう?”と不思議に思っていたのですが、理由はわかりませんでした。

そして20年後、置物と化していた甕を開けてみると、見事に蒸発して空っぽでした!(笑)

今になって思えば、あの匂いは甕から泡盛が滲み出ている香りだったんですよね。当時はそんなこともわからないくらい泡盛について知らなかったのです。

泡盛は、飲み会のためのお酒という印象で、会社の飲み会で上司や同僚に水割りを作り、泡盛を飲んでいるフリをしてお水を飲んでいました。どちらかというと泡盛を敬遠しているタイプだったと思います。

30代のときに上司が行きつけのお店に連れて行ってくれて、そこで頂いたのが「北谷長老13年古酒」でした。上品な甘さと香り、まろやかで飲みやすく、初めて泡盛を美味しいと思った瞬間でした。

※ヒヌカン ・・・ 「火の神」のこと。沖縄には女性が台所にヒヌカンを祀る慣習がある。

泡盛の魅力

「泡盛は琉球の文化そのもの!」だと思います。

代々受け継ぎ育てていける仕次ぎ、熟成させて嗜む古酒の旨さ。

そして、泡盛がもたらす人と人との繋がり・ご縁は、魔法でもあり、まさに宝です。

おすすめの泡盛 <入門編>

忠孝酒造株式会社「夢航海」(30度)

https://www.chuko-awamori.com/

忠孝酒造 夢航海

琉球王国時代の進貢船をモチーフに、“未来へ向け力強く航海を楽しんで行こう”という想いが込められたラベル。夢のある鮮やかなラベルは現代風ですが、「夢航海」は泡盛600年の歴史の中で一度途絶えてしまった「シー汁浸漬法(しーじるしんせきほう)」を復活させて作っています。シー汁の「シー」はウチナーグチで、「酸っぱい」という意味です。

現在の泡盛の製法は「米を洗い、水に漬け、蒸す」という流れですが、シー汁浸漬法は、原料米を洗わずに15時間から24時間水に浸漬します。すると、繁殖した乳酸菌などの微生物の働きで浸漬液は酸性のシー汁となり、汁の一部は次回の浸漬に使用されます。このような工程のシー汁浸漬法で作られた泡盛はやわらかでコクのある甘みを持つとされます。

「夢航海」は、泡盛初心者の方も楽しめる泡盛だと思います。最初に青リンゴの香りがするのですが、しばらく空気に触れるとバナナの香りがしてきてフルーティーさを楽しめる泡盛です。

スッキリ、さっぱりな飲み口なので、クラッシュアイスと炭酸水、もしくはトニックウォーターで割る「ユメタン」にして飲んでみてください。そして、季節の果物やコンビニに売ってる冷凍フルーツなどを入れてみてください。トロピカル感マシマシでより美味しいですよ!

食前や食中酒にオススメです。カルパッチョみたいな前菜や魚料理に合わせてどうぞ!

おすすめの泡盛 <中級編>

北谷長老酒造工場「北谷長老13年古酒」(43度)

https://chatan-chourou.co.jp/

北谷長老酒造 北谷長老13年古酒

はじめにお話しさせて頂きました泡盛が好きになるきっかけとなった銘柄です。

泡盛マイスターになった最初のお仕事で、ファミリーマートさんの『泡盛発掘紀行』というシリーズ商品の「一本松」を試飲評価させて頂きました。偶然、その商品も北谷長老酒造工場の泡盛だったのです! 凄い引き寄せですよね! めっちゃ驚きました。そうしたご縁のおかげで、北谷長老酒造工場の全泡盛を試飲評価させて頂きました。

香り味わいについては、北谷長老酒造工場HP(https://chatan-chourou.co.jp/)やパンフレット、ふるさと納税「さとふる」(https://www.satofull.jp/products/list.php?q=%E5%8C%97%E8%B0%B7%E9%95%B7%E8%80%81&cnt=60&p=1)に掲載されていますのでご覧いただけると嬉しいです。

ラフテーのような旨み成分たっぷりで濃厚な味付けのお料理に合わせてチブグヮで頂いたり、あるいは食後酒としてデザートとも合います。時節柄、甘さが増すお湯割りも試してみてください。きっとほっこりしますよ。

おすすめの泡盛 <上級編>

自分で作るブレンド!! 家にある泡盛どうしを自分でブレンドして自分好みの泡盛を探求する。

メーカーさんからちょこちょこブレンドキッドが発売されていることをご存じでしょうか?

直近では瑞泉酒造さんが限定発売しましたよ。瑞泉酒造さんは親切にメスシリンダーやスポイト、カップに空き瓶、とても丁寧な説明書に、説明動画も付いていました。そこには、製造部の伊藝さん(※)の熱い想いも詰まっていました。さすが伊藝さん! と思いましたね。

お酒は嗜好品ですので、ご自身の好みはご自身が一番よくわかるはず。

ですから、ご自身がブレンダーとなるのです。

自由研究を楽しんで究極の! 唯一無二の! 泡盛をつくってみてはいかがでしょうか?

完成した時のことを考えるとワクワクします。

良ければ感動のおすそ分けをください。つくる楽しさをぜひ語り合いたいです。

※伊藝さん ・・・ ブレンダーの伊藝壱明(いげい・かずあき)氏。優秀な泡盛のブレンダーに贈られる「泡盛ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を2021年受賞。

あなたにとって泡盛とは

泡盛が繋ぐご縁が学びと成長を与えてくれ、人生を豊かにしてくれる魔法です。

【取材協力】オニノウデ/TEL:090-3797-0577

<しーぶん>

サイト『珠玉の島酒』のライター紹介ページ(https://syugyokunosake.okinawa/writer/)で、「2018年泡盛マイスター技能競技大会全日本チャンピオン(内閣総理大臣賞)」と記された智美さんを知ったときから、ぜひインタビューしてみたいと思いました。

事前にお送りさせて頂いたインタビュー質問票は、ビッシリとご回答が埋められた状態でご返信いただきました。いただいたご回答は、拝読していてワクワクする文面で、彼女の泡盛に対する熱量が文字となって溢れていました。『おすすめの泡盛 <上級編>』の「その場で自分で作るブレンド」という手法は驚きでした。

お会いしてみると、細やかな気遣いをなさるステキな女性で、泡盛マイスター全日本チャンピオンとしての見識と泡盛愛、ネットワークはさすが。なのに、「まだまだ勉強中です」と謙虚さと向上心をお持ちで、智美さんのこれからの幅広いご活躍が楽しみです。

取材後半は泡盛片手に取材させて頂きましたがとても楽しいひとときで、今度はプライベートで智美さんとゆっくり乾杯できるといいな、と密かに願ってしまいました。

Photographs & Text by 安積美加(Mika Asaka)