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【お勧め泡盛・島酒】バーテンダーズチョイス ~原酒太平11番44度~

泡盛

泡盛メーカーの中でも「知る人ぞ知る」隠れメーカーの津波古酒造。ほとんど宣伝などをやらないので、津波古酒造周辺に住んでいる人ですらその存在に気付かないほど。 

製造もほぼ一人で行っているマイクロディステラリー。ツウ好みのしっかりとした泡盛を作っており、泡盛マニアの間では再注目の蔵元。 

しかしながら去年、残念なことにその一人で製造を担当していた杜氏が急逝した。それ以来製造は行われていない。プレミア必至の蔵元である。 

今回は各蒸留段階を5つに分け、それぞれの比率を変えてブレンドし、無加水で44度に調整した「原酒太平シリーズ(全41種)の「原酒太平(011番)」をテイスティングしてみたい。ブレンド比率は「初留側← 8:0:36:0:56 →後留側」である。 

原酒太平11

ストレート

香り

三温糖を嗅いだ時の様な香り。しっかり吸い込むと、つゆだくの長ネギ(白い部分)が現れる。開いてくるとアルコール感が現れるが、全体的におとなしい印象。さらに時間が経つと、ローストしたての麦茶の様な香ばしい香りが現れ、泡盛が触れた後、乾き始めたところはメイプルシロップの様な甘い香りを楽しむ事が出来る。

柔らかい口当たり。どちらかというとクリアで、雑味はあまり感じない。これは雑味成分のほとんどない「中留」部分が36%もブレンドされているからだろう。舌の上に広げても清廉さはそのままに、後留部分からくる旨味はしっかりと感じられる。初留の8%が効いているのか、口当たりが本当に清らかである。 

水割り

珍しいパターンであるが、まず初めに塩気を感じ、そのあとにほんのりとした甘さや青々としたグラッシー感がやってくる。水割りにすると後留部分の雑味が表に現れてくるが、嫌な感じはなく、むしろアクセントとなって全体のバランスを良くしている。ピーマンなどの緑黄色野菜の炒め物を食べているときの食中酒に最適だろう。 

炭酸割り

何というスッキリ感!これぞ炭酸割りを求める酒飲みのお手本のような酒質である。アタックからアフターまで均一のゲインで進行する。まるで焼酎甲類の様な爽やかさ。まるで研修期間中の新入社員の様に、個性を隠している様な均一さである。昨今辛口の酒がないとお嘆きの貴兄のぜひお薦めしたい一本である。 

オンザロック

穀物をローストしたような香ばしい香りと砂糖菓子の様な甘い香りが強調される。口に含むとトロっとした舌あたりになっており、濃縮された甘みがまとわりついてくるので、思わず「うまい!」と唸ってしまう。しかしながら即座に強烈な塩気がやってくるので混乱してしまう。そして口の中に残る余韻は甘みなのでますます混乱する。 

総評

今回テイスティングしたNo011はこのシリーズ全41種類の中では前半部分のまだざっくりとした配合だった実験段階のボトルである。前半部分を強くしたらこうだ。後半部分を強くしたらこうだ。では初留、中留、後留をバランスよくしたら?そういうテスト段階の酒である。No001からNo041まで評判がどうだったか、蔵人と情報交換していたが、このNo011は余り印象に残る話は聞いた記憶がない。このことも、スッキリとした酒質だったという裏付けなのではないだろうか。 

通常は開発室でしか存在し得ない「蒸留段階別のブレンド比率の違い」を消費者と共有したいという故・大城氏の思いの詰まったシリーズである。大城氏が急逝したため、No1~No41で終了となった。筆者はその全てを保有し試飲しているが、本当にそれぞれの個性が面白い。蒸留する泡盛を蒸留度数ごとに分けることによって、含有する成分を分け、それをブレンドすることで、イメージする酒質を作り上げることができるという手法を具現化し、ユーザーと共有した大城氏の大胆な発想には本当に驚嘆する。願わくば、もうしばらく大城劇場を堪能していたかった。 

株式会社津波古酒造 

住所:〒902-0076 沖縄県那覇市与儀2丁目8-53
電話番号:098-832-3696 
代表者名:津波古 章 
ホームページ:https://tsuhakosyuzou.com/ 

Text by 儀部 頼人(Yorito Gibu)