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珠玉の島酒を語る ~ 至宝の酒・泡盛 ぬみやびら かたやびら ~

お酒を愛する人泡盛

「ぬみやびら、かたやびら」はウチナーグチ(沖縄言葉)で、「飲みましょう、語りましょう」の意。泡盛を嗜む方々に、泡盛の魅力とおすすめの泡盛3選を語っていただくシリーズです。

<第2夜> 儀部頼人(Yorito Gibu)|『珠玉の島酒』島酒コンシェルジュ、バーテンダー、陶芸家、フォトグラファー、ビデオグラファー、ライター

1978年、沖縄県浦添市生まれ。泡盛の魅力に取り憑かれ夜な夜な泡盛を嗜んでいる。泡盛のおつまみは、「謝花(じゃはな)きっぱん店」の「冬瓜漬(とうがんづけ)」がおすすめ。趣味は場末のスナック巡り。

泡盛との出会い

僕のお酒の入口はウイスキーなんです。初めてバーでいただいたのは、18年ものの「マッカラン(The MACALLAN)」でした。

その後、シングルモルト、ワイン、日本酒、ビール、ラムとあらゆるお酒を飲み歩きました。
実は、初めてちゃんと泡盛をいただいたのは30歳くらいのとき。「琉球泡盛倶楽部(※)」の立ち上げに参加した際に、30年古酒をいただきました。そのときの衝撃はいまでも忘れられません。

世界中の美酒を求めて様々なお酒を飲み歩いてきたのに、足元にすごいのがあった! 

世界にまだ知られていない、すごいお酒が地元にあったんだ! と思いましたね。

※「琉球泡盛倶楽部」… 2009年6月28日設立。沖縄が世界に誇る古酒の研究とその普及・啓蒙を目的として泡盛マイスターを中心に発足されたクラブ。

泡盛の魅力

泡盛の魅力はまず、可能性を探求できることです。

ウイスキーやワインは何百年と世界中で作り続けられています。しかし、泡盛は戦争で一度途切れてしまっています。どんなに長くても戦後からになりますから、70年ものが最古なんですよね。だから、泡盛はまだ未完成なお酒。なので、多くの可能性が秘められているんですよ。その可能性を探求していくことが面白いかなと。

最大の魅力は、泡盛は自分で育てることができる、家庭でも熟成できるという点です。ウイスキーやワインではハードルが高いことでも、成功も失敗も関係なく、泡盛は自分で好きなようにお酒を育てられるのですから。こんなに面白いものはないと思います。

気をつけるべき点は、紫外線を避けるということだけで、泡盛は甕(かめ)でもビンでも熟成させることができます。振動と温度変化があった方が良いので、車の中に置いておくのもおすすめです。車内が高温になっても大丈夫です。直射日光、ディスプレイ用の蛍光灯など、紫外線にだけ気をつけてください。

おすすめの泡盛 <入門編>

瑞穂酒造株式会社「ender(エンダー)」(アルコール分:25度)
https://www.mizuhoshuzo.co.jp/shopping/ender/

ふつうに手に入り、デイリー使いができる入門編としておすすめしたいのは、瑞穂酒造の「ender(エンダー)」。

沖縄県内の繁華街を道行く一般の方にテイスティングしてもらい投票していただく「泡盛コンテスト」(http://awamori-news.co.jp/2018_03-08_awamori-contest-commentary/)で、3年連続最高金賞を受賞しています。

日本酒に使用する吟香酵母を使っている泡盛はこの銘柄だけなんですよ。エンダーとは方言で「やさしいひと」です。名前の通り、癖がなくフルーティーで、お米の旨味が感じられるやさしい味わいです。

おすすめ泡盛 <中級編>

合資会社伊是名酒造所「マイルド いぜな島」(アルコール度数:20度) 
http://www.izenashuzo.com/products720.htm

「マイルド いぜな島」は、伊是名島ではごくふつうに置いていますが、沖縄本島ではなかなかお目に掛かれない泡盛です。

以前、取材で伊是名島を訪れた際、島の居酒屋さんで初めて飲んだのですが、その美味しさに驚きました。内地の酒蔵で修行された方が作られていて、麹ももろみも通常より多く、かなりの手間ひまをかけて作られているそうです。

これまでは「泡盛は43度以上だよね」と思っていたのですが、この泡盛に出会って、20度を見直しました。酒の甘み旨味を引き出す、酒の資質にあった加水点があるのだと実感させてくれた泡盛です。

おすすめ泡盛 <変態編>

伊平屋酒造「たつ浪」(アルコール分:44度) ※非売品(有志による古酒会が酒造所に依頼して出来上がった泡盛)
https://iheyasyuzousyo.okinawa/

泡盛は自分で好きなようにつくれるのも魅力のひとつ。ほんとうに泡盛が好きだと、自分好みの泡盛をつくってみたくなるんですよね。

有志による古酒会「琉球泡盛倶楽部」は、さまざまな作り方で泡盛を試し、泡盛の可能性を探求してます。こちらの泡盛はそんな1本で、酒造所に依頼してつくってもらった非売品です。もはや変態の域ですよね(笑)。

泡盛をつくる工程で欠かせないモロミ。米100キロに対して、通常、水は175~180キロ使うのですが、ギリギリまで減らして水を130キロにして作ってもらいました。泡盛本来の味わいを残したいので、無濾過で欲しいところですが、どうしても小さな昆虫や異物が混入することがあるため、それらの除去を目的として濾紙より目の粗い「網杓子」で濾過していただきました。

こってりどっしりとした味わいです。こちらを味わってみたい方はお店「Bar Tasting Club」にいらしてください。

あなたにとって泡盛とは

お酒には出会いがあります。妻もお酒が繋いだ縁なんです。泡盛は、良い縁を結び、人生を豊かにしてくる神様のような存在ですね。

【取材協力】Bar Tasting Club/TEL:070-6599-5691

【Information】

Bar Tasting Club
営業時間/20:00~24:00(日曜定休)
沖縄県那覇市泉崎1-12-4 マラカイト泉崎ビル4-A
TEL:070-6599-5691

蒸留酒専門の隠れ家的な儀部氏のバー。とくに泡盛とウイスキーに力を入れている。

バーでは泡盛のおともに、儀部氏おすすめの「謝花きっぱん店」の「冬瓜漬」がいただける。

<しーぶん>

儀部氏の泡盛に対する情熱と造詣の深さには並々ならぬものを感じました。入手困難なレア泡盛も揃える儀部氏の「Bar Tasting Club」。泡盛の奥深さと魅力に触れることができるバーの扉を開けてみては。

Photographs & Text by 安積美加(Mika Asaka)