【お勧め泡盛・島酒】バーテンダーズチョイス ~南光原酒50度8年古酒~
泡盛那覇市泉崎でモルト・泡盛古酒専門店 Bar Tasting Clubを営む、バーテンダー儀部頼人が珠玉の島酒をテイスティングしながらご紹介する企画「バーテンダーズチョイス」
神谷酒造所 南光原酒50度8年古酒1800ml 6,380円(内税)
「原酒」これ程酒飲みをワクワクさせる言葉はない。
「原酒とは 蒸留のあと一切の水を加えず、そのままの状態で貯蔵したお酒の事です。濾過も一切かけてませんので泡盛の本来もつ旨味や甘みが残ったまま熟成しております。本品は8年間の熟成を経て醸し出したキャラメル香と深い甘さがアルコール分を感じさせない口当たりとなっております」
公式アナウンスも何ともそそる書きようである。それではテイスティングしてみよう。
ストレート
香り~強烈な刺激は無く穏やか~
アルコール感はもちろん強いが、強烈な刺激は無く穏やかで43度の銘柄と比べてもあまり変わらない程度である。
高度数であるため香り立ちは遅い。まず初めに半紙にしみ込んだ墨汁の様な和風ですがすがしい香り。
そのあとに青リンゴやおこげの香りなど、初留(しょりゅう)(蒸留の初めの段階)かつ荒濾過の泡盛の特徴が現れている。開いてくるとバナナやプリン、固焼きせんべいの香りが現れ、最初の「薄い」香りから「濃い」香りに変わっていく。
味~アンビバレントな感触~
さすがに50度という規格外のアルコールは容赦なく舌と喉をたしなめていく。
鮮烈なアルコールが過ぎ去った後、カスタードクリームの様な味が舌先に現れる。舌触りはトロっとしているのにシャープ。このアンビバレントな感触がこの「50度原酒」の個性である。
水割り~「飲みやすさ」がはっきりと分かる~
どんな高度数泡盛でも、自分好みのアルコール度数に変えて楽しめる飲み方がある。それが水割りである。
南光原酒50度は水割りにするととても飲みやすい。やはり神谷酒造の酒質である「飲みやすさ」がはっきりと分かる。クセの強い泡盛が好きな方には物足りないと思うが、大多数の方はこの様な酒質の方が好みであろう。アフターフレーバーもスッキリである。
炭酸割り~全体的に青草っぽい印象~
全体的に青草っぽい印象が強くなる。これは初留の段階に多く含まれる成分由来である。
炭酸の泡にミネラルが絡みつき、独特の感触になる。
オンザロック~「ひと舐め」程度の量が好ましい~
さすが高度数×荒濾過、酒に溶け込んでいた高級脂肪酸(うまみ成分)が氷により冷却、加水されたことによって現れ白く濁ってくる。一口飲めばそのうまみ成分を舌の上で感じる事が出来る。
一口とは言ったが、実際には「ひと舐め」程度の量が好ましい。それ以上はアルコールの強さのみが際立ってしまい、せっかくの味わいを感じることができないからだ。
そして一口舐めた舌の上にプリンが現れる。
総評~「原酒」なので新酒だと誤解~
今回の「南光 原酒50度 8年古酒」であるが、通常、他のどのメーカーもこの様な高度数商品は「新酒」でのみリリースするのが常で、8年物もの期間熟成させてから商品化するというのはとても珍しい。
せっかくなので、この南光で「甕による熟成」にチャレンジしてみてはいかがだろうか。値段も他のメーカーとさほど変わらないにも関わらず、すでに8年のアドバンテージがある。
私もメーカーのアナウンスを見るまで、「原酒」なので新酒だと誤解していた。8年ものであれば古酒好きな方の選択肢に入っていたかもしれない。
もったいないので、裏ではなく表に「八年」の表記をしたらどうだろうかと筆者は思う。
社名 神谷酒造所
所在地:〒901-0403 沖縄県島尻郡八重瀬町字世名城510-3
TEL / FAX:098-998-2108
WEB:https://awamori.site
代表者 神谷 正彦
創業 1949年1月1日
Photographs & Text by 儀部 頼人(Yorito Gibu)