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【お勧め泡盛・島酒】バーテンダーズチョイス ~Shirayuri イヌイ菌仕込44度~

泡盛

那覇市泉崎でモルト・泡盛古酒専門店 Bar Tasting Clubを営む、バーテンダー儀部頼人が珠玉の島酒をテイスティングしながらご紹介する企画「バーテンダーズチョイス」

独特の味わいと認知されている泡盛だが、その中でも特に「個性」が強いことで知られる「白百合」を、戦前の泡盛製造に使われていた伝統の黒麹「イヌイ菌」で仕込んだ特別限定酒。

池原酒造 Shirayuri イヌイ菌仕込44度720ml 4,290円(内税) 

通常の黒麹よりも手間をかけた仕込みを行い、荒濾過で仕上げることで、イヌイ菌ならではの風味と、白百合の濃厚な香りと味を楽しめる力強いお酒に仕上げたとのこと。 

野生のゴリラが更にジムで鍛えた様なものである。心してテイスティングしてみよう。 

ストレート

shirayuri ストレート

香り~全体的に統一感のある香り~

イヌイ菌で造られた泡盛の特徴的な香りである。香りに「厚み」を帯びるのだ。そしてクッキーの様な甘い香り。奥の方にエステルを感じる。例の白百合独特の香りはあまり感じない。全体的に統一感のある香りである。

味~重厚なボディ~

まず一口目、こってりでうま味のある液体が口の中に広がる。舌の上で広げるとやや塩気を感じ、酸味は穏やかである。鼻から抜ける香りに「白百合」がうっすら現れ、水で口をすすぐとハッキリ白百合の香りが現れる。この重厚なボディ。しっかり酒を味わえる。ハッキリ言って玄人好みの酒である。飲んでいるときに、グラスの内側面をぜひ見て欲しい。荒濾過である為、うま味成分の油がしっかりと見て取れるだろう。

水割り~本来の味わいを楽しめる~

shirayuri 水割り

イヌイ菌の影響と白百合本来の味わいを楽しめる飲み方。口当たりはミドルタイプ。はじめやわらかくのど越しはシャープである。泡盛を飲みなれている人なら誰でも「今、白百合を飲んでいる」と自覚できる。 

炭酸割り~炭酸に負けない骨格~

shirayuri 炭酸割り

最初から白百合独特の香りを楽しめる。炭酸に負けない骨格があり、バランスもいい。この「白百合イヌイ菌仕込44度」の炭酸割り、意外と「アリ」である。 

オンザロック~ストレートよりもアルコール感~

shirayuri オンザロック

味、香り共に甘さが際立つ。そして不思議なことに、ストレートよりもアルコール感を感じる。氷が解けて薄くなってくると、隠れていた白百合のDNAが現れる。一番いいとこ取りの飲み方ではないだろうか。 

総評~新たな可能性を模索~

通常、アワモリ菌とイヌイ菌のブレンドで造られることの多い泡盛造りではあるが、イヌイ菌だけで造った泡盛というのはとても珍しい。以前に津波古酒造が近いものを出していたが(アワモリ菌1:イヌイ菌9)やはり近い酒質であった。伝承されてきた造りをあえて崩し、新たな可能性を模索することは企業の成長には必要不可欠であり、私はエールを送りたい。 

血の滲むような試行錯誤から傑作は誕生するのだ。ボトルのラベルも、今までの伝統的な柄とは違い、元泡盛の女王がデザインした気品あふれるものとなっている。世代交代した池原酒造、いま一番注目の蔵である。 


沖縄では墓に故人を埋葬する際、泡盛を中に入れるという風習がある。私もそれに習い、祖母が他界したときに、墓の中に泡盛を入れた。それが「白百合」であったことを思い出した。願わくば、私が順番を飛ばさず、熟成された白百合を飲んでみたいものである。  

株式会社 池原酒造

〒907-0022 沖縄県石垣市字大川175
Tel.0980-82-2230
Web:https://shirayuri-ikehara.com/ 

Photographs & Text by 儀部 頼人(Yorito Gibu)