記事

珠玉の島酒を語る ~ 至宝の酒・泡盛 ぬみやびら かたやびら ~

お酒を愛する人泡盛

「ぬみやびら、かたやびら」はウチナーグチ(沖縄言葉)で、「飲みましょう、語りましょう」の意。泡盛を嗜む方々に、泡盛の魅力とおすすめの泡盛3選を語っていただくシリーズです。

<第3夜> 嶺井ひなの(Hinano Minei)|『珠玉の泡盛』ライター、シャルキュトリー専門店「TESIO」勤務、2017年「第32回泡盛の女王(旧姓・金城ひなの)」

1994年、沖縄県与那原町生まれ。朝一番に仕込んだ泡盛(瑞泉青龍3年古酒)を前割りとして毎夜たのしんでいる。泡盛のおつまみは、「TESIO」のハム・ソーセージがおすすめ。趣味は泡盛収集、読書、映画鑑賞。本を読みながら泡盛を嗜む時間が至福のひととき。

泡盛との出会い

子どもの頃、3~4歳から泡盛が身近でした。保育園のときにはおじいちゃんに泡盛を作ってあげていましたね。風邪気味のときは、おじいちゃんが作っていたヒル酒(※)をスプーン一杯飲ませてもらったり、熱を出したときは裸にさせられて体中に泡盛を塗られたんですよ。民間療法なんだと思いますけど(笑)。

うちの家族はみんなお酒が大好きで、全員酒豪です(笑)。いまも家族が集まるときは一人1本、泡盛の一升瓶を持ち寄って酒盛りをするんですよ。そんなふうに泡盛は暮らしのなかに溶け込んでいましたし、子どもの頃から泡盛の匂いが好きでした。

本格的に泡盛にのめり込んだのは20歳のときです。『珠玉の島酒』島酒コンシェルジュの儀部さんのバー(https://www.facebook.com/BarTastingClub/)で、「いい泡盛を飲んだことある?」と、「咲元」の35年古酒を勧めて頂きました。小さなちぶぐゎーにストレートでいただいたのですが、すごくなめらかで、甘くて、風味もよくて、1時間たのしめました。そのときに、「沖縄にはこんな泡盛があるんだ。もっと泡盛のことを知りたいな」と思うようになりました。

※ヒル酒 ・・・ 泡盛にニンニクを漬け込んだもの。「ヒル」は沖縄ことばで「ニンニク」のこと。ヒル酒は滋養強壮に良いとされている。

泡盛の魅力

泡盛の魅力は、ちゃんと美味しく育てることができる、みんなで一緒に愉しく飲める、そして、“後世へ繋げて行くことができるお酒”という点です。

沖縄では、子どもが生まれると泡盛を寝かし始めて、その子が成人した年にお祝いにみんなで飲む慣習があります。

友人の子どもの出産祝いにも、「子どもが二十歳になったら一緒に飲んでね」と泡盛をプレゼントしています。子どもの成長とともに、お酒の成長もいっしょに楽しめることも魅力だと思います。

私が生まれたときにも、おじいちゃんが作ってくれた甕があって、二十歳のときにみんなで飲みました。おじいちゃんと一緒に飲んでいると、「大人になったなぁ」とおじいちゃんが嬉しそうに喜んでくれたので、おじいちゃん孝行できたなと思っています。その甕は、おいしくて美味しくて、みんなに振る舞っているうちに、全部飲み干してなくなっちゃいましたけど(苦笑)。

飲み干してしまえば泡盛もその場限りでおしまいですが、飲み干す前にうまく仕次ぎをして育てていけば、泡盛はその場限りではありません。子どもから子どもへ渡して行ける、後世へ繋げていくことができるお酒なんです。

幸い、おじいちゃんから受け継いだ甕が2つあるので、こちらは上手に育てて楽しみたいと思っています。この先、私に子どもが生まれたらその子へ、孫が生まれたら孫へ、甕をずっと継承していけたらいいな、と思っています。

おすすめの泡盛3選は、みなさまに飲んでいただきたいので、販売されている入手可能な泡盛を選びました。

おすすめの泡盛 <前割りで毎晩たのしめる泡盛>

瑞泉酒造株式会社「瑞泉青龍3年古酒」(アルコール分:30%)

https://www.zuisen.co.jp/

新酒の荒々しさと古酒の甘みとなめらかさをあわせ持つ泡盛で、なめらかでミルキー、やさしい甘みが特徴です。

水を加えることによって本領が発揮される泡盛なので、朝から仕込んで前割りにして毎晩たのしんでいます。

もちろん、オススメの飲み方は前割りです。「青龍:水=6:4」で割って冷蔵庫で12時間以上寝かせてからお試しください。

おすすめの泡盛 <オススメはジャスミンティー割り>

やんばる酒造株式会社「尚 SHO -YANBARU-」(アルコール分:40度)

https://takazato-maruta.com/

やんばる酒造は、良い酒造所のお手本だと思います。やんばる(※)は遠いのですが、いつも近くにいてくれる酒造所、友人のように感じられる酒造所なんですよ。

「尚 SHO -YANBARU-」は、ジャスミンティー割りがオススメです。氷を入れたグラスに、「尚 SHO -YANBARU-:ジャスミンティー=4:6」で、さんぴん茶ではなく、 “ジャスミンティー”で割ってください。

日頃カクテルを飲まれる方や若い方、泡盛リキュールは邪道だと思われている方、むかしから泡盛を飲まれているおじぃちゃんにも試していただき、「ジャスミンティー割りでここまで美味しくできるよ!」と知って頂きたいです。

※やんばる ・・・ 沖縄本島北部のこと。「山原/ヤンバル」。

おすすめの泡盛 <誰もが美味しいと頷ける余韻の長い泡盛>

株式会社石川酒造場「玉友 甕仕込み10年古酒」(アルコール分:35度) 

http://www.kamejikomi.com/

女性ブレンダーの石川さん(※)が、ご自身が飲みたかったお酒をつくられました。

ひとことで言えば、「カラメルカラメルバニラ!」。

すごく美味しいです。クリームブリュレの上のカラメルを焼いた香りですね。甘くて香ばしい香りが鼻に抜けます。

口に含むとなめらかで、やさしくて、飲み終わっても舌に絡みつく。次の日まで美味しいんですよ(笑)。

こちらは是非、ちぶぐゎーで飲んで頂きたいです。飲み終えたちぶぐゎーにテイッシュを被せておくと、翌朝もまだ香りが残っているんですから。

余韻が長いのは良いお酒の証(あかし)。これほどの泡盛がこの価格で買えるなんて、“安い”と思える泡盛です。

ふだん泡盛を飲まれている方はご褒美に、飲み慣れていない方も「泡盛って美味しいんだ」と頷ける、すべての方に飲んでいただきたい泡盛です。

※石川さん ・・・ ブレンダーの石川由美子氏。2020年創設の初代「泡盛ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」受賞。

泡盛に合うおすすめ料理や肴

泡盛はどんなお料理にも合います。

お食事中は水割りがオススメですね。水割りなら味が濃いもの、脂が多いものがよく合います。とくに豚と相性が良いですよ。

「TESIO(https://tesio.okinawa/)」のハム・ソーセージもオススメです。お酒やウイスキーのおつまみには、TESIOの「いちじくとナッツのレバーパテ」、「鴨とマンゴーのゼリー寄せ」がイチオシです。

食後には、20年ものの良い古酒をアイスにかけるのもオススメです。

あなたにとって泡盛とは

泡盛がなかったらいまの人生はありません。

実は、学生時代に少しスランプに陥った時期がありました。そんなときに儀部さんと出会い、泡盛に目覚めて、泡盛に夢中になって、それから人生が良くなったんです。

泡盛を知っていただきたいから泡盛の女王に応募したり、瑞泉酒造に勤めたり、“泡盛のすべてを知りたい! 飲むだけでなく、作りたいし育てたいし、知ってもらいたいし、広めたい!!”、そう思って活動してきました。

那覇市内の泡盛バー「泡盛倉庫(http://awamorisouko.jp/)」の周年パーティーで、「TESIO(https://tesio.okinawa/)」のハム・ソーセージと出会い、いままでに食べたことのない美味しさに衝撃を受けました。見て楽しい食べておいしいTESIOのハム・ソーセージに惚れ込んで、与那原から沖縄市のお店に通うようになりました。通っているうちにオーナーとお付き合いするようになり、お店を手伝うようになって、つい最近、結婚しました。

このように、振り返れば私の人生のすべてのターニングポイントには、必ず、泡盛がありました。

私自身が泡盛を飲むだけではなく、もっと多くの方に、日本中、世界中の方に泡盛の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。 少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、「人生をかけて泡盛に恩返しをしていきたい」。それが私の人生のテーマなんです。

【取材協力】TESIO/TEL:098-953-1131

しーぶん

サイト『珠玉の島酒』のライター紹介ページ(https://syugyokunosake.okinawa/writer/)で、ひなのさんのプロフィールを目にしたときから、ぜひ彼女にインタビューしてみたい、と思いました。希望が叶い、初めてひなのさんにお会いして取材をはじめると、「朝起きたらまず泡盛の前割りをつくります」、「与那原の実家には300本の泡盛があります」、「ウイスキーならアイラモルトが好きです」と語られるひなのさん。私の期待は裏切られることなく、ひなのさんの泡盛に対する想いは予想以上の熱量でした。

おすすめの泡盛3選の「みなさまに飲んでいただきたいので、販売されている入手可能な泡盛にしました」という気遣いは、さすが「泡盛の女王!」と感じました。

生まれたときからの環境も含め、彼女の人生のターニングポイントには必ず泡盛があった。

お話を伺っていて、こよなく泡盛を愛する彼女は、「泡盛の神様に愛されている真の泡盛の女王」なんだ、と思えました。(私的には年下のとてもチャーミングな彼女は、女王というよりも、いっしょに飲み語りたいと思う“泡盛の妖精”かも(笑)。)

世界に向けて泡盛の魅力を発信される伝道師として、今後のひなのさんのご活躍をお楽しみに。ひなのさん、期待しています。

Photographs & Text by 安積美加(Mika Asaka)