【お勧め泡盛・島酒】バーテンダーズチョイス ~太平・古酒40度~
泡盛
那覇市泉崎でモルト・泡盛古酒専門店 Bar Tasting Clubを営む、バーテンダー儀部頼人が珠玉の島酒をテイスティングしながらご紹介する企画「バーテンダーズチョイス」
泡盛メーカーの中でも「知る人ぞ知る」隠れメーカーの津波古酒造。ほとんど宣伝などをやらないので、津波古酒造周辺に住んでいる人ですらその存在に気付かないほど。 製造もほぼ一人で行っているマイクロディステラリー。ツウ好みのしっかりとした泡盛を作っており、泡盛マニアの間では再注目の蔵元。 しかしながら去年、残念なことにその一人で製造を担当していた杜氏が急逝した。それ以来製造は行われていない。プレミア必至の蔵元である。
津波古酒造 太平・古酒40度720ml
今回は太平と言えばこの酒、長く仕次を重ね華やかさとコクを兼ね揃えた逸品、「太平古酒40度」をテイスティングしてみたい。
水割り

数多のラインナップがある中で、「津波古酒造を代表する古酒です」と公式がアナウンスするだけあって、水割りという飲み方にも非常によく馴染む。綿あめの様なほのかな甘さと、熟成からくる旨味成分が「水割り」という飲み方によって五臓六腑の隅々にまで染み渡る。これは明日への活力になること疑いなしである。
ストレート
香り
注いだ瞬間から素晴らしい香りが辺りに漂う。本来、泡盛の熟成は「仕次(しつぎ)」と呼ばれる手法で長期熟成させていくのだが、今の酒造組合のルールでは「一番若い酒の年数を表示すること」となっているのでどんなに長期間仕次による熟成を重ねても「新酒」扱いである。なのでほとんどのメーカーはこの手法を用いないが、津波古酒造は味にこだわり、あえて仕次の酒をリリースしている。
バニラの香りとコーンのスナック菓子の様な香ばしさを併せ持つ。その中に「旨味」を連想させる何とも言えない良い香りが混じる。
味
まずはう~ん、と唸ってしまう旨味、そしてバランス。「もうこの酒さえあればいいかな」とさえ思わせる完成度である。口に含むとトロっとした舌触りの絨毯が敷かれ、その上を旨味の一団がパレードして行くかのようである。甘さの程度も良く、最後に程よく塩気を感じる。余韻はいやらしく無い。
炭酸割り
まず初めにシャキッとした清々しいミネラルを感じる。その中で酒の分子、一粒一粒が薄い糖衣で纏われている様な舌触りと、ほのかな甘み。津波古酒造の酒は泡盛全体の大枠で見ると「個性的」な酒質に分類されると思うが、この「炭酸割り」に関しては突出した個性を出さない飲み方になるので、食中酒に最適だろう。
オンザロック
高級な酒や、長期熟成を経た酒でしばしば体験する「トロっ」とした口当たりが本当に心地よい。氷によって酒が冷やされるため、香りの立ちそのものは抑えられる。味わいについても「仕次」製法で新酒のフレッシュな味わいから古酒の芳醇な味わいまでをバランスよく兼ね備えているため、一口飲み、一口飲み、気が付いたらグラスが空いていた。そんな感覚になる飲み方である。
総評
あらためて泡盛熟成の「奥義」である「仕次」の威力を感じたテイスティングであった。
長期熟成によるうま味成分の増幅に新酒の力強さを加えた非常にバランスの良い酒に仕上がっている。シングルビンテージの超熟は香りや旨味は突出するが、ボディが繊細だったりすることが多い。良い酒というのはやはり「バランスの良い」酒のことを言うのだろう。自然にしても酒にしても「多様性」こそが、持続可能な発展に繋がるのである。
津波古酒造は10年以上の長期熟成泡盛のラインナップが豊富にある。しかしながら流通には乗らないので直接蔵元へ買い付けに行かないといけない。しかしながら、毎月「太平まつり」という特売市をやっているので、津波古ファンと蔵元の交流の場になっている。そこでは荒濾過、蒸留段階違いの試作的泡盛、陶芸家とのコラボ、アウトレット、倉庫で発見されたデッドストックなど、泡盛ファンなら垂涎のラインナップが揃う。通常は第四㈮㈯の開催であるが、予定が変わることもあるのでぜひ蔵元に確認して「太平まつり」に参加してほしい。
株式会社津波古酒造
住所:〒902-0076 沖縄県那覇市与儀2丁目8−53
電話番号:098-832-3696
代表者名:津波古 章
ホームページ:https://tsuhakosyuzou.com/
Text by 儀部 頼人(Yorito Gibu)