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泡盛がふわっと香るKIZAHA COFFEEの泡盛コーヒー(ヤンバルフレーバー)

お酒と文化お酒を愛する人美味い料理・レシピ

「毎日の生活にコーヒーが欠かせません」という方は結構多いのではないでしょうか?

私もそのひとり。まず、コーヒーを飲まないと1日が始まりません。仕事が煮詰まっている時や午後には必ずと言って良いほどコーヒー休憩を挟みます。

そんな私が最近出会って感動したのは、華やかでフローラルな風味が楽しめる「泡盛コーヒー」です。今回はその泡盛コーヒーを手がけるKIZAHA COFFEE(キザハコーヒー)の山本大五郎さんにお話を聞かせていただきました。

喜如嘉の集落でコーヒー栽培をし、焙煎

沖縄県北部、大宜味村(おおぎみそん)喜如嘉(きじょか)の集落にある農園でコーヒー栽培をし、焙煎までをひとりで行う山本さんは実はもともと養豚場を営んでいました。20年ほど前に人からもらったコーヒー苗を庭に植え始めたことがきっかけとなり、今では約500本の苗を管理するまでに。

「もともとコーヒーは好きでした。今でこそ自家焙煎のコーヒーは珍しくないけれど、私が沖縄に移住をした25年前は自家焙煎コーヒーを飲める店がほとんどなかったので、オーガニックの生豆を購入して、自分で焙煎して飲んでいました」

6年ほど前から“コーヒー屋”としてイベント出店するようになり、2020年6月には旧おおぎみ道の駅(大宜味村根路銘1373)の2階に実店舗をオープン。店名のKIZAHAは喜如嘉の古い呼び方だそうです。

KIZAHA COFFEEで味わえるコーヒーは3種類

こちらでいただけるのは「ラオス産オーガニックコーヒー」「ヤンバルフレーバーコーヒー」「自家産コーヒー」の3種類。

「ラオス産オーガニックコーヒー」は、フェアトレード団体からラオス産の生豆を仕入れ、お店で焙煎したもので、「自家産コーヒー」は山本さんが栽培する喜如嘉産豆を使ったコーヒーです。

泡盛が香るヤンバルフレーバーとは?

そして「ヤンバルフレーバーコーヒー」は今回私がいただいた「泡盛コーヒー」のこと。こちらはラオス産オーガニックコーヒーの生豆を泡盛に数日間漬け込み、焙煎したものです。

山本さんが使う泡盛は、沖縄本島最北端の泡盛酒造所「やんばる酒造」の「やんばるくいな 25度」。もう少し度数の低いものや他の泡盛でも試してみたそうですが、この泡盛がしっくりきたと言います。やんばるくいなは、やんばるの天然水仕込みの泡盛を、じっくりと3年以上熟成させた古酒を30%ブレンド。味わいはほんのり甘く、古酒らしいしっかりとした香りも楽しめるお酒です。

2020年5月、やんばる酒造は、地元でモノ作りをしている人たちが集まり、商品を販売できる「やんばるオンライン共同店」をオープン。山本さんが栽培するコーヒー豆は納品できる量が少ないためオンラインショップではラオス産オーガニックコーヒーを販売していましたが「やんばる産」ではないことに違和感があったと言います。そんな時、昔飲んだ「コーヒー酒(ブランデーを漬け込んだコーヒー豆)」を思い出し、「泡盛でもおいしくできるかもしれない」と思い、試してみることに。

ラオス産のコーヒー豆は甘み、苦味、風味のバランスが良く、泡盛と合わせても個性を活かせると直感的にも思ったのだそう。

泡盛を吸った生豆は水分量が多いため、通常の豆よりも若干時間をかけて焙煎。コーヒー豆と泡盛の香り・風味を活かすため、焙煎度合いは中煎りに。一升瓶(1800ml)で2.5〜3kgのヤンバルフレーバーができるそうです。

そんな豆は、袋を開けた途端チョコレートや洋酒を思わせる甘くてボリュームのある香りがブワっと広がります。

KIZAHA COFFEEでは1杯500円で味わうことができます。

コーヒーを淹れる水にもこだわりが

山本さんは、オーダーが入ってから豆を挽き、1杯ずつ丁寧にドリップ。コーヒーに使う水は、妖精が棲むという神秘の森「七滝」の地下から汲み上げた日本では珍しい天然硬水「七滝の水」を使用しています。

こちらはホットでも、アイスでも味わうことが可能ですが、山本さん曰く「ホットの方がより香りが広がっておすすめ」とのこと。

ブランデーのような気品ある芳醇な香りと、追いかけてくるコーヒーの香ばしさ。そして心地よい苦味。口に含み、喉を通った後も鼻に抜ける華やかな香り。その甘い余韻は長く続きます。

店頭では豆(30g)と、器具が不要で持ち運びも便利なドリップバック(12g)も販売中。ドリップパックは少量の熱湯を注ぎ、20秒ほど蒸らした後、120mlほどの熱湯を数回に分けて注ぐと美味しく仕上がるとのこと。

ドリップバックはやんばる酒造と許田の道の駅でも購入することができますが、30gの豆とその場で味わえるのはKIZAHA COFFEEだけ。

コーヒー豆は鮮度が大事ですが、こちらのヤンバルフレーバーは少し寝かせておくとより深い味わいになるのだそうで、沖縄旅行の際のお土産としても良さそうですね。

そんなヤンバルフレーバーと相性の良い食べ物(フードペアリング)は、濃厚なチョコレートや、ドライフルーツを洋酒に漬け込んだフルーツパウンドケーキ、クッキーなど。やんばる酒造の「泡盛ケーキ」なども良さそうです。

泡盛に興味がある方はもちろん「何か面白い沖縄土産を」と考えている方や「普通のコーヒーでは物足りない」と感じている方、KIZAHA COFFEEのヤンバルフレーバーはいかがでしょうか?

KIZAHA COFFEE

所在地:大宜味村字根路銘1373 ぶながやマーケット(旧道の駅おおぎみ)
営業日:火・水・土・日・祝日 11:00~17:00
Blog: https://kizaha.exblog.jp
Instagram: https://www.instagram.com/kizaha_coffee_kijyoka_okinawa/

Photo&text:舘幸子