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【お勧め泡盛・島酒】バーテンダーズチョイス ~老麹仕込み荒濾過 太平17年~

泡盛

那覇市泉崎でモルト・泡盛古酒専門店 Bar Tasting Clubを営む、バーテンダー儀部頼人が珠玉の島酒をテイスティングしながらご紹介する企画「バーテンダーズチョイス」

津波古酒造 老麹仕込み荒濾過太平17年44度1,800ml 

泡盛メーカーの中でも「知る人ぞ知る」隠れメーカーの津波古酒造。ほとんど宣伝などをやらないので、津波古酒造周辺に住んでいる人ですらその存在に気付かないほど。 

製造もほぼ一人で行っているマイクロディステラリー。
ツウ好みのしっかりとした泡盛を作っており、泡盛マニアの間では最注目の蔵元。 

しかしながら去年、残念なことにその一人で製造を担当していた杜氏が急逝した。
それ以来製造は行われていない。プレミア必至の蔵元である。 

ストレート

香り

しっかりとした「津波古」の骨格はそのままに、全てがグレードアップしている。 

17年という通常では考えられない長期熟成からくる濃厚なバニラ香、黒糖香、香ばしい穀物系の香りが飲み手を優雅な気持ちにさせてくれる。開いてくると甘く高貴なカサブランカの様な花の香りも現れる。「玄人」も納得の一本である。 

まだまだ元気なアルコールの刺激の後に旨味の洪水がやってくる。香りを嗅いだ時に期待した味そのものの味わいであ長期熟成によってアルコールの角が取れまろやかになるという説もあるが、この「荒濾過」製法で造られた酒はまだまだ元気なアルコールの力を残している。

アルコールの嵐が過ぎ去った後には旨味の洪水がやってくる。香りを嗅いだ時に期待した味そのものの味わいである。甘いバニラと黒糖がミックスされた味。飲み込んだ後に鼻から抜ける香りがまた素晴らしい。 

水割り

水で割っても衰えない辛口な酒である。この飲み方でも、やはり「常識的」な超熟泡盛の範疇に当てはまらず、力強い酒の力を感じる。ボディーには甘みを感じるが、中盤以外の飲み始めからのど越しまでが一貫して辛口シャープな印象を受けるだろう。「荒濾過」はもちろん長期熟成を見越した造りであるが、それは10年20年という単位ではない。40年、50年熟成といった、途方もない世界を見据えているのである。 

炭酸割り

意外にオイリーな口当たりになる。それは荒濾過製法である為、通常は濾過の工程で取り除かれる高級脂肪酸がたっぷりと残っているためにそう感じられるのである。炭酸の泡の一つ一つが薄い泡盛のヴェールに覆われている様な柔らかさになる。青草など、若々しいイメージの味になり、17年という熟成年数を忘れてしまう。 

オンザロック

44度という高い度数の割にはアルコールの荒々しさが消え、まるでカルピスの様な甘みが前面に押し寄せてくる。思えば同じ発酵飲料である為か。オンザロックが一番甘みを感じられる飲み方であろう。口に含んだ時から中盤までの濃厚な味わいの後に津波古の伝統的なキノコ様の味わいを感じ、ソルティーな感じが強くなる。 

総評

さすがの17年熟成といったところか。熟成からくる濃厚なバニラ香は圧巻で、満足度の高いものである。そして44度という度数も長期熟成に対応できるため、これから購入して自分で寝かせることもできる。 今楽しんでよし、瓶や甕で自分好みの酒質になるまで熟成させてもよし。ミドル世代や、長期の熟成が我慢できないせっかちさんは、最初から17年熟成の種酒をベースに古酒造りにチャレンジしてもいいのではないだろうか。 

津波古酒造は10年以上の長期熟成泡盛のラインナップが豊富にある。しかしながら流通には乗らないので直接蔵元へ買い付けに行かないといけない。しかしながら、毎月「太平まつり」という特売市をやっているので、津波古ファンと蔵元の交流の場になっている。そこでは荒濾過、蒸留段階違いの試作的泡盛、陶芸家とのコラボ、アウトレット、倉庫で発見されたデッドストックなど、泡盛ファンなら垂涎のラインナップが揃う。いつもなら第四(金)(土)の開催であるが、予定が変わることもあるのでぜひ蔵元に確認して「太平まつり」に参加してほしい。

>>太平感謝祭についての記事はコチラ

会社名:株式会社津波古酒造

住所:〒902-0076 沖縄県那覇市与儀2丁目8-53
代表者名:津波古 章
ホームページ:https://tsuhakosyuzou.com/ 

Photographs & Text by 儀部 頼人(Yorito Gibu)